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BL小説 甘い手、長い腕 (ディアプラス文庫)



表紙や口絵は童話っぽかったので甘々してるのかなと思いましたが、中身は結構淡々。
淡々としてて、素朴。
でもその素朴さが、未加工の洗いざらし。
そして洗いざらしの甘さがある!
<br> あまり華やかな作品が少ない一一穂作品の中でも、かなりの素朴さ爆発(笑)
そして、その素朴さがなんとも心地よかったです!


甘い手、長い腕 (ディアプラス文庫)甘い手、長い腕 (ディアプラス文庫)
(2014/04/09)
一穂 ミチ

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小さい頃の両親の離婚で、母親についていった理一。
四半世紀ぶりに生まれた場所で、病気になった父親と再会。
生々しい感情もない、ただのおじさん……みたいな存在の父親。

そんな父親の病室にいたのは、父親が経営するシャツ工場の近くの毛糸工場の息子、真尋。
ふわっ、ぽろっと、となんだか宙を浮いたような雰囲気の真尋は、毛糸一筋。
毛糸を研究したり、毛糸であやとりしたり、家業を当然のごとくに愛して受け入れている。
そんな真尋を最初はヘン……というかちょっぴり引いてみていた理一だけど、いつしか真尋そのものに飲まれていってしまう。

理一がメガネの元エリート(だと思う)企業勤め。
真尋は地元から出たことない、どっちかというとふわゆる系。
全くタイプ違う。
きっと友人同士でも、お互いテリトリー圏外っぽい。
なのに、いつしか互いにしっくりくる存在になっていく。

どこがどう…とははっきり言えないけれど、二人が至極自然で、二人をとりまく人々も自然。
二人のいる環境も、経営面では厳しいけれど基本は自然でたゆたうように時が流れている。
ああ、一穂マジック、ここに出たり。すごい。

あまりの自然さと素朴さに、ふと毛糸の匂いまでしてきそう(笑)

もちろん素朴だけじゃなくて、二人の擦れ違い的な葛藤もたくさんありました。

とくに理一のちょっと理不尽な感情は、基本真面目で筋を通す理一には最初理解ができない。
自分で自分の感情に戸惑う。
その姿さえも素朴で、理一は好感が持てる攻めキャラでした。

理一と比べると少し感情に走った感じの真尋も、最初は子供っぽそうに見える。
でも、実はいろいろ考えてたりする。
彼なりに考えて、理一を好きになって。

後半(本編ではなく本の半分を占める続編)は、真尋の葛藤が読めるので、理一と比べたりと対照的とも言える二人を比べて読めるのが面白かったです。

シャツ工場と毛糸工場。
そう、基本、主人公二人は職人気質。
タイプが違う職人だけど、根っこに共通点があるところが、また面白さがにじみ出てる部分だったのかも。

目立ったキラキラ感はないけれど、挿絵やちょっとしたシーンにキラキラ感、隠れてます!

ちなみに、口絵の二人でお風呂入ってるシーンがなんとも童話みたいで可愛かったです。
でもこの口絵に騙されてはいけない!(笑)
ああ、キラキラしてんだ……と思って読み始めると、かなり色味的には土色、田舎色。
そのギャップがいいんですけどね……。


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テーマ: BL小説 | ジャンル: 小説・文学
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