BL小説  眠り王子にキスを (SHYノベルス313)



この小説、同時期に発売されたコミック「いつも王子様が」と連動している小説です。

以前にも、榎田尤利さん(小説)と町屋はとこさん(コミック)でコラボ企画がありましたよね。
「愛とは言えない」と「恋とは呼べない」
これと同じパターンのコラボです。

まず、小説とコミックの両方読んだ感想としては、コミックを先に読んだ方が話がかみ合います。
コミックの次に小説を読むと、全部が網羅できる仕組みです。
逆にすると、ちょっと小説読んだときに基礎知識がなくてあれ?って思ってしまう場面があるので、コミックを先に読むことをおススメします。

コミックなしで小説だけでも、話的には問題なく読めます。
ただ、世界観の幅を広げるという意味では、両方おススメ……ということです。


眠り王子にキスを (SHYノベルス313)眠り王子にキスを (SHYノベルス313)
(2013/12/02)
月村 奎

商品詳細を見る


まず、表紙。
表紙の二人を見て、なんとなく想像できる二人の関係。
表紙の表情や二人の立ち位置が、この本をまるごと一冊語ってくれてます。
まさにどんぴしゃな表紙です。

朗らかで明るそうな男と、ちょっと引き気味、おとなしめの男。
この明るそうな男が、攻め。
「朗らかイケメン年下リーマン」です。

そして受けは、表紙で戸惑い気味に立っている男。
「恋愛、人生、全てで自分を律して生きてきたデリオーナー兼料理学校の先生」

ゲイであることで家族ともめて以降、自分自身を常に悪者として責め、絶対一生恋愛もしないと律して一人で生きてきた堀(受け)は、お客さんである宮村(攻め)を徐々にいいなと思い始めていきます。

仕事ではまあそれなりだけどプライベートでは全く対人スキルがない堀。
まずその天然の無知さがすごくかわいいです。

32歳、仕事ではそれなりなのに、友達の距離、友達づきあいが素でわからない。
家族との不仲から、友達さえ作ることを憚ってしなかった堀。
宮村に変なところは見せられないと、気持ち悪いのに我慢してしまったり、自分中心でない性格。
むしろ、ゲイであることをなじって責めてきた家族に対しても、「自分がゲイだから嫌な思いをさせた」と自分を常に悪者としてとらえる優しい、けどすべてに後ろ向き傾向な男。

堀という人物は全く嫌味がなくて、読んでて不器用なのに癒される人物でした。

そんな堀にストレートに対峙していく攻めの宮村は、まあどこにもでいそうな、どんな本でも主人公になれそうなかっこよくて気配りのできる、性格が朗らかな今時のリーマン。

でもつまらない人物、ああ見たことある!って既視感がわかないところが月村作品のすごいところ。

すごく何かとびぬけた特長があるわけでもないのに、宮村の存在はなぜかきらりと光っているのです。

何気ない会話から、何気ない食事会、何気ない誘い、何気ないなにか……と少しずつ堀を誘ったりして、フランクな居心地良い空間を作ってくれる宮村。

暖かい家庭で育ったことがにじみ出る行動がすごく好感が持てました。
「ザ・爽やかリーマン攻め」ってとこでしょうか。

展開としては、どこまでも後ろ向きな先生とストレートな宮村という組み合わせから大体想定がつく範囲の展開なのに、非常に新鮮。
なにげないシーンの積み重ねなのに、なにげないくせにちょっと特別感があるのです!

ちょっとずつ気持ちが近づいていく二人。
一つ一つの会話や、二人の行動が、どれもちょっとずつ愛しく思える素敵な本でした。

パッと見は普通、いや平凡に近いのに、最初から最後まで引き込まれまくり!
きっとほのぼのしたテイストなのに、どこかぴりっと辛口だったり、ちょっと切なかったり、その切なさが突然現れたりと、展開に密かなアップダウンがあったからかもしれません。

そしてもちろん攻めのかっこよさもおススメポイント。

王子様的かっこよさではなく、身近にいそうなかっこいい男で、親近感沸くタイプです、この宮村。

かつ、その行動力もすばらしい。

宮村の家族のことを慮って踏み切れない堀に、先に家族にずぱっと話してしまう宮村の潔さにも、決心の固さにもほれぼれ(溜息)。

ああ、読んでよかった。
もう一回読んでみようかな。

自然とそう思える本でした。

何度も言いますが、コミックと併せて、おススメ作品です。

表紙も少し凝っていて、素敵です。



関連記事
テーマ: BL小説 | ジャンル: 小説・文学
BL小説 素敵な入れ替わり (ディアプラス文庫) | Home | BL小説  いつか恋に落ちる君へ (クロスノベルス)

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する