BL小説  恋はドーナツの穴のように (ディアプラス文庫)



ストーリーは、まあ平凡。
特にビックな展開があるわけでもなし。
主人公二人も華がない。

なのに、おもわず二人の行方を必死に追ってしまう、とりもち?のように離れがたい読み深さがありました。


恋はドーナツの穴のように (ディアプラス文庫)恋はドーナツの穴のように (ディアプラス文庫)
(2013/11/09)
砂原 糖子

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印象強かったのは、まず主人公二人の対比。

攻めはいまどきの高校生。17歳
名前も、ちょっと読みにくい感じで、凛生(りお)。

「はい」と返事できずに、「はぁ」と答える、無気力高校生。
ああ、ほんといまどきです(笑)
悪気があるわけじゃないけど、それがデフォルト。
そうやって生きてきた。
顔はイケメンで手足は長い。
ああ、やっぱりいまどきの新人類。

対する受けは、そんな凛生の態度やいまどき具合に最初から呆れて投げやり気味の、バイト先のドーナツ屋のやとわれ店長、倉林。
29歳。微妙な年頃。

別にドーナツが好きなわけじゃない。
たまたま故郷に帰ってきて勤めたら、あっという間に店長になっただけ。
朝から夜までドーナツ。
忙しくて、休みもろくに取れない。

そんなドーナツ屋の店長とバイト店員。
全てをもうあきらめたような男と、無気力な高校生。
昔の男をあてもなく引きずっている男と、何となく女子高生と付き合ってきた男。
大人と子供。
まるで違う世界に生きているような二人が、特にすごい努力をすることなくお互いに惹かれていく様が、超絶自然で、妙に納得ができるところがすごいです、この本。

特に高校生の凛生。 倉林のなにがいいのか?
本の中ではあまり語られないけれど、凛生が倉林を気になりだした瞬間や、倉林への想いが大きくなっていく過程がよくわかります。

倉林に好かれようといまどき高校生の態度を変えるとか、そういうのはないのに、自然と29才と17才が寄り添っていく姿は、「ああ、こんなに歳離れてても、普通にいけるんだ……」となんか目からうろこ?な気分で、ナチュラルな温かみがありました。

倉林はドーナツ屋の店長ってことをそのまま等身大で受け入れていて、そこに希望も絶望ない。

バイトを雇っても、みんな腰かけだってわかってる。
大体まともなバイトを雇おうと思っても、なかなか普通に仕事ができるバイトがいない。
それもストレス。
普通に、ドーナツを詰めて売るだけなのに。
いまどきの若い子は、なんでこうなのか……。
冷めた目で、そして諦めの境地で、店長を務める日々。

そして、高校生という時代が軽い気持ちで行動できる時代だということもわかっている。

だから凛生の告白をまともになんて取り合わない。
取り合えない。
だって、まともに取り合って、向こうが短時間の遊びに近い気持ちだったら、自分がつらいから。

でも凛生にしてみれば、真剣なのにそうやって取り合ってもらえないのがつらい。
臆病な大人になってしまった倉林にやきもきしてしまう。

倉林の気持ちもよくわかりますが、ここで、対する凛生の気持ちもよくわかるのが面白いところです。

恋愛に対する考え方は、倉林には過去に縛られた考え方があるし、凛生には、母親にちょっと起因する考え方があります。
それをちょっとずつ、お互いの力というか、ドーナツ屋での二人のつながりを使って解きほぐしていく姿が、なんだかちまっとしてるけど、素敵でした。
なんてことないことだけど、すごいことだなぁ……と。

どっちがどうということではなく、相容れないから、うまくいってほしいなと、純粋に二人の行く末を案じたり結果にホットしたりしながら、寄り添って読める本です。

華もないし平凡だけど、おススメです。

砂原作品だな、と思える味があります。



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