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BL小説  碧のかたみ (Holly NOVELS)



作者の思い入れが強い作品です、これは。

時代設定が第二次世界大戦中なのですが、このあたりに作者自身もいろいろ考えることがあるのだと思います。

そういう意味では、読み手としては好き嫌いや、得意・苦手が分かれるところですが、作品としては文句なしに良かったです。


碧のかたみ (Holly NOVELS)碧のかたみ (Holly NOVELS)
(2013/08/08)
尾上 与一

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個人的には、とても楽しめましたし、文章に泣かされました。
戦争や航空機乗りという設定上、どうしても文章は物悲しく切ないもの。
同じ文章を書いてもたぶん他の設定ではぐっとこないものも、この設定だときてしまうというアドバンテージはあるものの、それを差し引いてもよく書けている本だと思います。

イラストや概要のとおり、戦闘機乗りの二人、恒と六郎が主人公。
南洋ラバウルの地で、戦いながらお互い自然に寄り添うようになります。
平和だったころの夢とか家業や家族など、正反対の性格の2人が状況の苦しい中でも明るく未来を夢見ながら話す。
青春モノに近い雰囲気ながら、とても厳かでじっくり読まされることを自然とさせられました。

展開は二人が某基地で出撃したり、病気になったり、愛し合ったり、喧嘩したり。
普段の部分が大半で、最後になってドドっとストーリーが展開していきます。

BLの性質上、ラストがどうなるのかはどうしても予定調和というか決まった法則がある。
それはしかたがない。
それでも、最後の最後までギリギリの命のやり取りを見せてもらえる、「予定されてるけどそれを気づかれない感」が強いラスト。

脱帽。

すばらしい。

生きることに懸命になった時代があった。
改めて考えさせられてしまいます。

本編以外にもショートで、2人の後日話と、「天球儀の海」のショートが収録されています。

そう、この本は「天球儀の海」のスピンオフ。
「天球儀~」の希の兄が恒という設定です。

本編以外のショート2編は、どちらも本編後、戦後のお話で、「天球儀~」を読まれた方は、その後の希がどうなったのか、どういう暮らしをしているのか、このショートでわかるのでおすすめです。
ちょっと気持ちもあったまる、ほっとするお話です。

もちろん「天球儀~」を未読でも問題ないです。
お話が絡むことはなくパラなので、どちらかしか読んでいなくても大丈夫です。

本編の後日談、恒と六郎のショートも非常におすすめです。
というよりも、この後日談を読まずして、本編も終わらないというか。
このショートがあるから、なんか本編も端から端まで救われる、そんな嬉しい、泣きたくなるようお話でした。

通常小説だとイラストが挿絵として挟まっていますが、この本に関しては数ページコミックのようにマンガが入っています。

空を飛んだり戦ったりと、いろいろ描写が難しい内容ということもあるのでしょう。
マンガが入っていることでよりその情景が色濃く想像できました。

戦争うんぬんを除いて、二人の関係や恋愛の仕方だけにしても、暖かさがあってよかったです。


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テーマ: BL小説 | ジャンル: 小説・文学
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