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BL小説  君だけが僕の奇跡 (ラヴァーズ文庫)



心の奥深くにそっと触れてくる、素晴らしい作品でした。
でも、好き嫌いとか、評価は分かれそうな気もします。


君だけが僕の奇跡 (ラヴァーズ文庫)君だけが僕の奇跡 (ラヴァーズ文庫)
(2013/07/25)
千地イチ

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個人的には千地作品は好きです。
そんなにデビューして長く経ってなかったはずですが、こう、独特の雰囲気があるんですよ、本に。

他の作家さんにはない、描き方というか。
ふつうとちょっと違う人物描写というか。

そして主要キャラもどこか半クセひねってあるのが多いです。

今回の主役2人も、そう。
過去の経験から自分を表に出したくない年上絵描き、武(受け)と、目に障害がある年下バンドアーティスト、倉沢(攻め)。
とあることから、知り合って、お互いにお互いの秘密を言わないまま、なんとなく日々親しくなっていく。
その延長線上に恋愛があり、仕事があり、そして秘密の暴露がある。

この本、あまり恋愛恋愛してません(笑)
でもその分、恋愛を超えた、心のよりどころみたいな部分が描かれています。

泥臭さもないし、エロさもそんなに感じない。

でも、本当に心の奥底に眠る感情を引きずりだされるような、読み手に対するあけすけ感があるのです。
読んでて、何かが浸食してくるような不思議な感じの本です。

そして、色彩や音を通して意思疎通する描写が、非常に素敵でした。
武の描いた色だけを認識できる倉沢が、武の色を頼りにする。
なんともはがゆくて、でもどこか暖かい。

その武も、倉沢の歌う声でなにかを感じる。
倉沢の音で触発され、倉沢の音で周囲が変わる。

実はこの本、人間の弱さを描いています。
受けも攻めもどちらも、心が弱い人間。
心が弱い者同士が、お互いによってなんとか強くなろうとしつつも、よっかかりながら歩いていく。

そんな、めちゃくちゃ人間の弱さを書いたストーリー。
弱さをネガティブにとらえてしまうと、少し物足りない本だなって思うかもしれないです。

けれど、この弱さを読ませるとこに、独特の良さがあるのです!

まあ、いろいろ書きましたが、
正直言って、恋愛ストーリーとしては少し突飛(笑)
いつの間にそんな感情が?と急展開を感じなくもないです。

ですが、本としては……人間の弱さやそして強さを書いた本としては、かなりの逸品だと思います。

そんなに厚みのない本ながら、読ませる量はハンパじゃないです。
ぜひじっくりどうぞ。



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テーマ: BL小説 | ジャンル: 小説・文学
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