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BL小説  お菓子の家: 〜un petit nid〜 (プラチナ文庫)



甘いだけじゃないです、BL小説。

ときに、痛い、もの悲しい話もある。
ちょっとつらい話だから、よけいにほのぼのした場面で悲しくなる。

この「お菓子の家」もそうでした。

元ヤクザのパン屋阿木に、生い立ち不幸で善人ではないけれど根が子供みたいな男加瀬が雇われて、必死に自分の居場所を探しながら自己嫌悪を繰り返すという、基本もの悲しく痛いストーリー。


お菓子の家: 〜un petit nid〜 (プラチナ文庫)お菓子の家: 〜un petit nid〜 (プラチナ文庫)
(2012/09/12)
凪良 ゆう

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生い立ちが不幸で、誰にも優しくされてこなかった加瀬。
だから人との距離がわからない。自分の居場所がない。
好きな人が離れていくんじゃないかと怖くて、愛してるのに暴力を振るってしまう。
そんな自分がイヤでたまらない。
でもどうしても孤独で、不安でたまらない。

善人ではなく愛想もない男の寂しさと、自分の居場所がない焦燥感や嫌悪に正面から向き合っている内容で、自分ではどうしようもない心のつらさがよくわかります。

そんな加瀬を見守る大人の阿木は、逆に過去が激しいのに今はそれを乗り越えた雰囲気のあるおおらかな男で、お互い育ちが不幸なのに、現時点での二人が対照的で印象に残ります。

ぜんぜん懐かないのに、一旦懐くと赤ん坊のようにどこへでもついてくる根が子供のような加瀬を、いつしか可愛く愛しく思う阿木。

目に見えない厚い包容力が伝わってきて、加瀬と一緒に痛くなった気持ちがふわりと暖かくなる場面が幾つかありました。

心に痛いシーンも多々あるのですが、それでも加瀬がちょっとずつ自分の居場所を見つけていく姿に、読んでよかったなと思いました。

後味が良いとか悪いとかではなく、「加瀬という男を知れてよかった」という満足感が残るお話でした。

こういう話の筋が好みでない方には無理にオススメはしませんが、読んで損はない、何かが心に残る一冊だと思います。

加瀬は別本「夜明けは優しいキスを」にネガティブな役で出ています。
同本を読んでいると、この本での加瀬の成長ぶり?がよくわかりますが別に読んでいる必要はまったくないです。
……が、この本を読んでから「夜明けには優しいキスを」を読むと、ちょっと加瀬のイメージがマイナス方向へブレるかもしれないです。そのぐらい、イメージ変わります(笑)



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テーマ: BL小説 | ジャンル: 小説・文学
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